物語は心の栄養素

アニメや美女ゲなど、”物語”で感じた想いを保管するためのブログです

美女ゲ『サクラノ刻 ー櫻の森の下を歩むー』感想・考察 ~仕合わせ(しあわせ)って、人生を肯定する言葉だ~

枕『サクラノ刻』タイトル画面
©MAKURA All Rights Reserved.

『美』を探究する過程の事柄
それが”生きること”を示していたり、
それが”愛すること”を示していたり、
それが”しあわせ”を示していたりする

プレイヤーへ『美』を言葉ではなく、
感覚で理解させていく芸術作品の様な物語

 

物語を感想という言葉にすることで、煙たく濁ってしまうかもしれないけれど、言葉にすることを止められなかった
かなり長いですが読まれた方にとって、新しい発見みたいなものがあれば嬉しく思います

 

【 ↓ 公式サイト様 ↓ 】

www.makura-soft.com

 

※感想は概ねプレイ時の時系列順です
 誤字や文法間違い等、あったらすみません
 寛大な心でよろしくお願いします

 

以降、ネタバレ注意!!!!

 

【第Ⅰ章  泥棒カササギ

「贋作と真作の違い、美の価値とは何か」

静流が麗華との仲直りのための三百万を集めるために、紗季の考えたカササギの物語を創造する

美術品はそのものの価値が全てでは無くて、それを所有していた人物の信頼や来歴、美術品が扱われてきた過去の出来事から価値が生まれる
確かにモノの価値なんて定性的なものだし、数値で簡単に計算して表されるものでない。モノを持つ人の感性や来歴から世間が決めるものだと感じた
絵画だって、陶磁器だって、写真だって、美少女ゲームだって、どんな美術品も作者は価値を決めれない。価値を決めるのは所有者であり、美少女ゲームならばプレイヤーだと思う

そして所有者やプレイヤーが感じた価値が、自分自身が信じる価値が、そのモノの美の価値だ

 

「麗華の印象」

決して根っから悪い子ではない感じを受けた、自分の信念を貫いている

麗華
「新しい美は、多くの人にとって新奇すぎる。だから、それを言葉によって、皆に発見させるのよ」

人間の優劣に血の純度に拘っているのは、中村家として伯耆伝説の教育を永遠とさせられたんだろうな…と
子供って、兄弟って、その家をルールに縛られてしまうもの

⇒読了後追記
麗華と中村家の伯耆伝承への研究の積み重ねがあったからこそ、直哉は最後に稟と勝負できる絵画を描くことが出来た(宿命というか何と言うか……

 

「麗華と藍」

夏目家は中村家から見れば”悪”、それは事実だと思う

中村章一へ因縁をつけたのは夏目琴子と草薙健一郎で、オランピアの絵画を中村章一に破るように仕向けたのは紛れもない事実だから

誰かの正義が誰かの悪になる
これってどんなことでも言えると思う

 

「麗華と静流」

鳥谷家も夏目家と同じく、中村家から見れば悪
紗季が学園を乗っ取る事で、麗華は今までとは同じで居られなくなる

麗華からして見れば、静流の事を少なくとも家の関係性無しに交流できる存在(友達)って思ってただろうから、裏切られたっていう想いが強かったんだろうな

あと麗華が陶器を割る音が耳に残った、音に心がビクッとした

 

「健一郎が圭に宛てた、紹介状の手紙」

「その種を大地に蒔け」
「それはいつか、太陽の様な輝きをもって我々の前にあらわれるだろう」
「そんなヤツに、俺の息子がどう挑むのか、今から楽しみでしょうがない」

健一郎の観察眼が凄い(圭の才能を見抜く)っていう事も言わずもがなだけど、”太陽の様な輝き”っていうのが圭の最後の作品の向日葵を暗示していると感じた

圭の向日葵に直哉が挑む事も予言してて、さす健一郎

 

「麗華の大学生活」

結婚を決められた人間へ偽りの笑顔で媚びへつらい、自分の信念は無くなっていく

相手となる本間家に取り入れられれば、内部から全てを奪うと決意する姿。その姿勢が中村家から学校を奪った紗季と重なって、心に響いた

麗華自身があんなにも紗季の事を嫌っていたのに、そんな女と同じ事をしようとしている自分に嫌気を感じたりしてきっと辛かったんだろうな……

⇒Ⅳ章読了後追記
麗華は国文科という立場を生かして、碧緋研究に心血を注げていた
マイナスな気分で入った大学だったけど、自分の信念を貫く術を見つけてそれを一心に打ち込めるって本当に凄いことだと感じた
⇒読了後追記
作品を通してみても麗華の信念を貫く強さって随一だと思う

 

「雪景鵲図花瓶」

静流が麗華のため、圭のため、真琴のため、自分のため、色んな事を成し遂げるために作った作品
そんな作品を麗華が認めたことに嬉しくなっている静流の感情を想像すると、感化されて画面の前で涙が零れた

そして麗華のこの言葉

麗華
「うるさい!誰かなんか知らない!誰が何と言おうがかまわない!」
「世界中の人間が、この雪景鵲図花瓶を偽物だといったとしても、それがどんな権威だとしても私は譲らないわ!」
「だって……あれは本物なのだもの。
 私にとっては、どんなものよりも本物なのだもの……」

麗華は静流作って気付いているよね。きっと……
だって学生時代に何度も何度も静流の作品を見続けているし、「私にとっては、どんなものよりも本物」って言葉が雪景鵲図花瓶が静流作って事に気付いている事を示している

学生時代に唯一中村家っていう関係性も無しに関わってくれた静流が、約二年間っていう歳月をかけて、色々な裏はあるけれど”仲直りしたい”っていう感情元に作品を作ってくれた
だからモネの偽物語を謳った贋作であったとしても、麗華にとって花瓶の価値は何よりも高い
花瓶へ下される周囲の人間の判断なんで、どうでもいい。「私にとっては、どんなものよりも本物なのだもの」っていう言葉に繋がる

 

「静流と健一郎の共通点」

二人が似ているって誰が言っていたかは忘れてしまったけれど、僕自身も二人の事を似ているなって思った

  • 自分の想いに正直に生きるところ
  • フットワークが軽いところ
  • 人の事を想って作品つくるところ

自分のやりたい事をするために海外でも、国内でも、ありとあらゆるところに赴き芸術を追求する。その追求の過程でどうしても発生するお金の問題も、それぞれの方法で解決する
静流はコーヒーのコンサルティングで大好きなキマイラに貢献しながら仕事を、健一郎は自分の作品を作り美を探究しながらフリッドマンから与えられた仕事をこなす
自分の想いを叶えられるお仕事としている二人の事を見て、凄く大人だなあと感じた

人の事を想って作品づくりの共通点は、静流だと「雪景鵲図花瓶」、健一郎だと「オランピア」。誰かを救いたいって想いから生まれた作品は、受けとる感情は違うけれどバックボーンは同じ

静流さんはとても魅力的な人間だなって、ふつふつと感じた
だから直哉に振る舞っていたコーヒー(カラシトラジャ)を買ってきて、自宅で挽いて淹れた。酸味が強めでスッキリとしていてとても美味しいものでした

静流が直哉に振る舞っていたコーヒー『カラシトラジャ』

僕はすぐに物語の影響を受ける人間なのです!w

 

「紗季さんと健一郎」

紗季さんが健一郎の事を「草薙くん」って言う時の、声の柔らかい感じから彼女の感情が伝わってきた
二人は別れているけど、仲違いじゃなくてお互いの目的のために一緒に居ることを辞めたって感じでしょうかね
紗季の健一郎への想いは未だ残ってそうな雰囲気、乙女や……

 

※参考:恩田家・中村家・鳥谷家 関係図

プレイ中に僕自身が覚えるために作りました
中村章一のせいでややこしい、許すまじ(怒

 

【第Ⅱ章 展覧会の絵

直哉が前に向かって歩み始める章

  • 教師として美術部員を教えている事
  • ルリヲと寧の関係性から、直哉と圭の関係を客観視する事
  • 桜子に圭との関係性を話すことで他人の視点からの意見を貰えた事

そういうものから直哉自身、圭の事を自分自身で少しずつ整理出来る様になっていると思う

 

「藍の手料理と帰る家」

”ただいま”って言えて、”おかえり”が返ってくる
そんな家で家族と過ごせるのって良いなあって

直哉には色々あったけれど、藍っていう家族がご飯を作って待っていてくれる。何気ない日常かもしれないけど、お酒飲みながら日常の仕事の会話をしているところが生きているって感じてよき

あと藍が話した”おとぎ話”は藍の心を映し出したもの
それと直哉の恋をどんな形でも藍は応援するというのは、健一郎っていう大好きな人と水菜姉さんの事を見送れた藍だからこその精神性
自分が大好きな人ならば、その人の選択がどんなものでも、幸せが待っているならば応援するっていう尊い心。そういうものを藍は持っているんだぁ……

 

「オ〇ニー論議

この手の話題、正直サクラノ詩から嫌いじゃない

トーマスっていう狂った輩が消えたからマシになったと思ったけど、ルリヲが相当に吹っ飛んでいて自分の欲望に忠実にストレートな子だから、中々にカオスな方向の会話になっていくのが割と面白くて好き

 

「圭と直哉の出会い」

圭が直哉の事をライバル宣言した理由を想像

1つ目は自分よりも才能がある同年代の人を始めて見つけたから
2つ目は自分だけでは世界の頂上までたどり着けない事を知っていたけど、直哉と切磋琢磨すればたどり着けると確信したから

”切磋琢磨”って陳腐な表現かも知れないけれど、多分二人の関係性ってそういうものだろうと想像

⇒Ⅳ章読了後追記
もっともっと深い関係性だった、一言で言うならば「愛」だと思った。詳しくはⅣ章へ

 

鈴菜の秘めた思い」

幼い頃から何度も何度も直哉に告白して振られている
それでも好きなことには変わらないから、出来る限り直哉の傍に居るために普通科に入り、美術部に所属している
ルリヲの様に芸術で直哉と繋がる事が出来ないからこそ、あらゆる日常で出来るだけ同じ時間を過ごし、直哉の事を知りたいっていう純粋な心

そういう鈴菜の心を知ったときに、ルリヲとは違う方向で一途で真っ直ぐでいい子だなって思った

⇒読了後追記
というか直哉本当にモテモテだな、滅茶苦茶カッコいいから仕方ないね

 

「藍とバイクで星を観に行く」

もうね、最高のシチュエーションだよ!!

健一郎が残したバイクで二人がふらっと、何の気なしに星を見に出かける
ふとしたタイミングで出掛けたい、どこかに行きたい、そんな感情や想いを叶えてくれるのがバイクって乗り物
バイクに乗ることも目的だし、乗ってとある場所へ辿り着くことも目的だし、二人からバイクの魅力がひしひしと伝わってきた

 

「ムーア展、圭の向日葵がホワイトアウトしている理由とは?」

プレイヤーに圭の向日葵をはっきりと見せない
その理由がまだ分からない

・自分の心で考えろって事なのか
・直哉にとって圭の絵が見えなくとも、もう前に進めるって事なのか

⇒Ⅳ章読了後追記
圭のバックボーンを知らないプレイヤーに絵画がハッキリと見えていたとしても、何の意図もくみ取れないものだからホワイトアウトしていたのだと思う

 

 

【第Ⅲ章ーⅢ 禿山の一夜】

「直哉が海を眺める心鈴を見て、思い出した言葉」

「すべての芸術は、すなわち表層と象徴でなりたってる」
「危険を冒さなければ表層の下に踏みとどまることは出来ない」
「危険を冒さなければ象徴を読み取ることはできない」
「芸術が映し出すものは、人生ではなく、その観客である」

分かる様な、分からない様な、まだ言葉に出来ない。咀嚼できてない

⇒読了後追記
”表層”は凡人が絵画を見た時に、”象徴”は才人が絵画を見た時に、それぞれが得る印象の様なものだと思う
凡人は”表層”しか絵画から読み取れないからこそ「芸術が映し出すものは、人生ではなく、その観客である」という言葉に繋がる。それとその具体例がⅤ章の長山香奈の勝利である

 

「ベスパで二人乗り」

海風を浴びながら海岸線を美少女と二人乗り、よきかな……

ベスパは詳しくないからモデル名までは分からないけど、ああいうゆっくりと田舎道を流すのがとっても似合うバイクだなあと感じた

あと心鈴をバイクの後ろに乗せるのは危ないからって、最初は断ろうとしているのが紳士で良かった(やっぱり直哉はカッコいい、すき

⇒Ⅳ章読了後追記
モデル名は「ベスパ150std」
1960年台くらいのイタリア産バイク

 

「長山香奈との邂逅」

大人な香奈も好きだなあ、と
飲み屋でノノ未に対して丁寧で優しく接している所を見ると、あれだけ尖っていたけど色々あって大人になって丸くなったんだなあとしみじみ感じた

あとノノ未に長山香奈という個人的な芸術家として褒められて、本気で照れて小声になっているところがすげえ可愛い!!

それと印象に残ったのがこのシーン

香奈
「いいえ……。
 価値が分かるなんて事は何の力でもないんです。
 価値を自ら作り出さなければ、それはなんら意味などない」
「自分で価値が作り出せない芸術家など、存在しないも同じです」
ノノ未
「いいえ、長山先生はちゃんと価値を作り上げてます!」
香奈
「だといいんだけどね……」
ノノ未
「ほかの誰かは知りません!ですが、少なくとも私にとっては価値がある作品ばかりです!」
香奈
「っッ……」

ノノ未から自分の作品に価値があるって言ってもらえて香奈が泣いてしまう姿を見て、僕も貰い泣きしましたね…
何故かっていうと香奈が学生時代に直哉に向かって言った言葉と想い、それと同じものを持っているノノ未って子に自分の作品は個人として価値があるって言って貰えたから、香奈が続けてきた事と自分の美が誰かに届いて価値を産んだって実感を得られたんだろう彼女の心情を想像すると、本当に嬉しいだろうな…って共感出来たから

 

「四色型色覚」

寧の絵画の書き方の特徴

ネットで簡易テストしてみたら、僕も四色型色覚に近いっぽいかも(本当か?w
様々な色が見えてるらしいなら、何だか嬉しい

【エックスライト社のカラーIQ(色彩感覚)テスト】
https://www.xrite.com/ja-jp/hue-test

 

「寧の過去」

寧の抱えている問題

  • 中村(本間)麗華に母親である霧乃がきつく当たられた
  • 兄である圭が命を落とす原因となった心鈴を強く恨む
  • 幼い頃の喧嘩で本間心佐夫から入院が必要になる暴力を受けた

心底嫌っている本間家である心鈴が、兄である圭が通っていた宮崎絵画学校に通っていて、尚且つ寧自身が誇りに思っていた絵の才能も遠く及ばなかった
その事から心鈴の事を、みすゞの事を超えることを誓う

多分そこに慣れ合いたくないという気持ちとか、寧が心鈴の事を理解して許してしまいたくないとか、そういう気持ちがあるんだろうなと思う

やっぱりお母さんの霧乃さんと似て、強く思い込みをしてしまう所がある子なんだなって感じた
でもその思い込みって全てにおいて悪い訳ではなくて、思い込みがあったからこそ心鈴を超えるために絵画により一層打ち込む様になったのだと思うし良い面もある
その結果直哉だったり色々な人々と出会う事が出来たのだから、寧もそれはそれで幸せなんだろうな……(ある視点から見れば

 

「恩田放哉との対峙」

放哉の言葉は物語性を重視した様なモノの考え方をしているけど、この言葉は真実だと思った

直哉
「俺が呪いで圭を殺したみたいな言い方ですね」
放哉
「ああ、端的に言えばそうさ。
 ボクは、君が呪って圭を殺したのだと思っている」

呪いっていうのは直哉が圭に美を見せつけ、直哉を追うように圭の心を仕向けたこと
それは直哉が意図してやった事ではないけれど、傍から見れば絶対的な事実

圭と共に過ごした生活は、直哉と圭の選択の積み重ねがあって、美しいもの
でもその選択が圭をあのタイミングで死に追いやった事は逃れない真実

なんだか放哉を見て、『殻ノ少女』シリーズの間宮心像を思い出した
二人とも死と自分が信じる美に魅入られている感じ

あと放哉との対峙はBGMも相まってか、ゾクゾクした
言葉にしにくいけど色んな感情が渦巻いた、物語としてワクワクした、面白い

 

 

【第Ⅲ章ーⅠ 詩人は語る】

『心鈴√』

「心鈴のいうあの人とは?」

心鈴に絵の素晴らしさを伝えた人
師匠が渡してくれたカセットテープ、それには派手な音楽が封じられていた、というと圭?
⇒Ⅳ章読了後追記
やっぱり圭だった、ロックンロール!

 

「心鈴による寧への指導」

一日三時間の睡眠と様々な美術教養本の感想を強いること、その中で僕に響いた直哉による言葉があった

言葉による読書感想は、それ自体で、多くの思考を必要とし、その思考はそのまま理解と記憶につながる

感想を書く時の思考を端的に表していて、画面の前でずっと頷いていた
受けた感情を言葉にする際に考える。その思考する過程に理解が生まれて、その思考履歴が記憶として定着する。そんなイメージ

指導の果てに寧が無事に自分の美を見つけて、心鈴の事を心から感謝して尊敬するような関係性へ至れたところも良かった。芸術へ本気で向き合う同志ならば、過去しがらみや因縁を乗り越えて理解し合える
あと純粋に美少女同の子弟関係っていいね、心鈴のお師匠モードすこすこ侍(めちゃ、かわよ

 

「静流さんのお酒観」

寧のFIRST展最高賞受賞記念のパーティーでの静流さんの言葉

静流
「だって、せっかくのお祝いじゃん。高いお酒はいつ空けたらいいのかわからないんだからさ。今日みたいな日こそふさわしいと思って」

世界中を旅してきた静流さんだからこその言葉だと思う。色々な場所で色々な体験をしてきたからこそ、今日という1日1日がとても大切な事を知っている
だから自分が大切だと思った日には、豪快に高いお酒を開ける決意が出来る

うじうじしないで、突っ走る様な静流のこと本当に尊敬
僕も静流さんの様な人になりたいと思った、もっともっと僕自身旅を続けていこうと改めて思った

 

「心鈴のお弁当」

お昼ご飯を一緒に食べる勇気はないけれど、頑張って作ってきた事が伝わってきて良き夏和小さんの透明感があって、可愛らしいお声がマッチしてて素晴らしいな…

お弁当の内容も、直哉が母親である水菜さんの味付けの話しを心鈴が覚えてくれていて、それに即して京風料理を勉強して作ってくれたって事が本当に可愛い
ほっぺをムニムニしたい、心鈴が本当にかわいい

 

「デェト……」

「デェト……といいませんかねぇ?」

”デェ”のところ、喉を搾り出した様なちっちゃい声がめちゃ良い!!!!!!

 

「刻が動く」

心鈴
「海には、あの時の様にミサゴが飛んでいてーー、私は、一瞬だけ、幸せだったあの頃に帰った気がしていました」
「私は、その時の音楽を聴いていました」
「カセットテープは、過去にあった、あの時を封じ込めています。あの風景を、今に運んでくれます」
「師匠にあの防波堤で手渡されたカセットテープ」
「その瞬間が閉じ込められた音達を聴いていたらーー」
「私はあなたに出会いました」
「そして、また、刻を動かしてくれました」
直哉
「刻を」
心鈴
「はい」

心鈴が直哉に刻を動かしてくれたって言ったのは、直哉が心鈴に声をかけた事で音楽を聴いて過去に戻るのではなく現実世界、いま刻が流れている世界へと連れ戻してくれた事

心鈴
「だから音が止まった世界。刻が止まった世界は、私にとっては何も見えない、それこそ暗闇の世界と同じだった」
「だけど、あの防波堤であなたと出会い、そして、あなたは再び音楽をかき鳴らしてくれた」
「あのバイクで大音量の刻を刻んでくれた」
直哉
「あのバイクで……か」

あのバイクで一緒に大音量の音、刻(とき)を刻(きざ)んでくれたから。一人じゃなくて、過去を見るんじゃなくて、二人で前を見て音を刻んだから

そして二人の刻を刻んだ事、それは直哉が共に歩みたいパートナーを見つけたって事

直哉
「オレは、あの場所で君を見つけた」
心鈴
「私は、あの場所であなたに見つけてもらった」

暗闇の室内で、心鈴くんの表情は見えない。
それでも俺はただーー。

直哉
「遅かったぐらいだよ」

このセリフは直哉の告白であって、圭の死で止まっていた直哉の刻が動き始めた証拠だと感じた
それと、後に続く”暗闇の室内で、心鈴くんの表情は見えない”って表現が素敵すぎて悶えた。何故かっていうと、暗闇の中で心鈴の表情が見えないことがわかるくらい、彼女の事を見つめていたって事だから
心鈴と刻(とき)を刻(きざ)み始める事を遅かったと想えるくらい、直哉は心鈴の事を想っている、見つめている

二人の心情を想像しているとたまらない気持ちになる、どんだけ互いが大好きなんだ……

⇒Ⅳ章読了後追記
圭が心鈴の芸術家としての人生を花開かせ、美について探究した彼女は直哉と出会った
互いに圭という共通点を持ちながらも、その事を言葉にせず通じ合っていく様が素晴らしいと感じた
二人の心の中には圭が生きてる、だから惹かれ合ったのだろうな

 

「心鈴の愛の宣言」

この言葉から、直哉がどれだけ心鈴に愛されているか。愛情の深さをしみじみ感じた

心鈴
「あなた以上に素晴らしい男性を教えてください」
「あなた以上に私をときめかせる男性を教えてください」
「あなた以上に私を安心させてくれる男性を教えてください」
「そして、あなた以上に私を幸せにしてくれる男性を教えてください」
「そのすべての答えに対して私は言います」
「あなた以上の存在なんていません!」
「私の選択肢に、草薙直哉以外はないのです」
「この世界で、私を再び見つけてくれて、そして愛してくれたのはあなただけです」
「私が愛しているのはあなただけです」

こんな言葉を女の子から貰えるなんて、直哉はどれほど幸せだろうか
心鈴が一生懸命生きてきた人生の選択肢の先に見つけた一番星、オンリーワン、ひとつだけ。心鈴の心の形にフィットするのが直哉の心、他の人間は有り得ない
そんな気持ちが伝わってくる心鈴の言葉が本当に素敵で、僕の心に響いた。こんなに嬉しい言葉って他に無いよね

⇒Ⅳ章読了後追記
心鈴を最初に見つけたのは圭、次に見つけたのは直哉
でも彼女を始めて愛したのは直哉

 

「心鈴の兄、心佐夫」

王様気取りだった精神をへし折られて自宅に引きこもり、どこにでもいるようなオタクになる
心鈴や寧に暴力を振るっていた過去とかがあって許しがたいけど、立ち絵も声もないけれど、どこにでもいるオタクだからこそ彼の気持ちに共感できた

「創作はお前ら天才だけの聖域じゃないだ」

この言葉で目が覚める様な思いをした
物語は心の中に秘めているだけだと誰の目にも触れられない、でも作品として表に出せばそれはもう立派な作品だ
心の中に留めておくんじゃなくて、自分の外へと吐き出そう
考えた内容が下手だったとしても、下品でも、面白くなくても、見られることで作品と自分の想いが研鑽される

発表する、表に出す、人に見られる、そういう想いの具現化と大切さに気付かされた

 

「きっと人生って音色だ」

サクラノ詩を再プレイして僕自身が感じて、言葉にしていたこと。人生について

una-008.hatenablog.com

【上記ブログから引用】
人生は残酷だから、苦しいからこそ美しさが際立つ
平坦ではなくて、山があったり谷があったするからこそ、その起伏、軌跡が波となって振動となって音色として伝わってくる

きっと人生って、それぞれの人の音色を奏でるためにあるのかもしれない
(僕はそう思ったけど何となく伝わるかな……

健一郎と本間礼次郎との会話で、僕が理解していた事が間違いではなかった事に気が付いた

健一郎
「私というものを現象の様にして見るとーー」
「あたかも世界に明滅する光。
 美しく鳴り響く光の音節のようです」
礼次郎
「音節ですか。
 その音節の中に我々は幸福という音や不幸という音を持つ」
「音節の中の音は、高くなったり低くなったり波長の様にきらめくというわけですかな?」
健一郎
「あはは、良くおわかりだ」

本間礼次郎が発したセリフが正に僕がサクラノ詩で感じていた事と同じで、聞いた瞬間に自分の言葉と感覚がシンクロするのが分かった

すると僕は礼次郎や健一郎みたいな化け物へ、少しだけでも近づけているってことかな……

 

「心鈴√のさいごに」

美少女にお○んちんが付くことも芸術
そしてそれは、とてもとてもえっちな事だ(異論は認める

 

 

【第Ⅲ章ーⅡ 幾望と既望】

『真琴√』

「何でこんなにえちちな事を……」

こんなに積極的に直哉に絡んでくるのって、真琴自身が色々なコトに関わることを心に決めたからなのかなって感じた

真琴
「私はいつでも蚊帳の外。私が知らない場所で何かが起きて、そして誰かが活躍して、事件が解決されていく」

腹違いの妹である恩田寧、中村麗華の娘で従妹に当たる本間心鈴、その二人の子弟関係、中村家、恩田家、本間家、色々な関係性を真琴は抱えている
でも学生時代は何かが起きようとしても気付けなかったり、どうしようもなかったり、そういう過去があるからこそ大人になってからは関わることを選んだんじゃないかな

複雑な家同士の関係性が動くときは必ず草薙家が関係する、だから真琴は直哉の傍に居る事を選んだ。あと学生時代から好きって事も大切な一要因何だろうな……

 

「完璧な満月でないからこそ」

真琴が「幾望」で直哉が「既望」
二人とも満月でない、完璧でない、だからこそ二人の仲が深まる可能性がある

「幾望」
まだ満月を迎えていない月、満ちる前

「既望」
満月の十五夜が過ぎた十六夜の別名、満ちた後

真琴から見た静流さんはきっと「満月」みたいな存在で、たった一人だけで全て完結している。凡人である真琴から見て静流さんは憧れという存在であり、決して追いつけない存在であり、夜の空に浮かぶ決して届かない月のようなもの。だから真琴は「満月」求めるけどまだ足りない「幾望」である

直哉は圭と一緒になって美を追い求めてた日々は「満月」であり、完結した人間であった。しかし圭との永遠の別れにより直哉の満月は少しだけ欠けてしまった、だから直哉は「既望」である

真琴は「幾望」で、直哉が「既望」であるからこそ、二人は仲を深める事が出来る。互いに足りていない事を知っているから、二人の関係性が生まれる
完璧じゃないから自分に足りていない事を補い合う、人間全員が完璧でヒーローの様だったのならば社会は孤独に満ちているだろう

 

「物語の最後に告白」

旧知の仲だったり、社会人同士だからだったり、真琴があえて距離をとっているからだったり、色々な理由や背景があったけれど最後の最後で告白ってのも良かったと思う

真琴は圭という自分が大切なものを失ってしまうトラウマを抱えているからこそ、直哉に正面から自分の気持ちを伝えられなかった。だからなあなあで曖昧な関係で落ちつくことを吉としていたけど、直哉はそうもいかない

草薙家は愛すると決めるのは人生に一人だけっていう家訓?みたいな、直哉の精神性から真琴の事だけを想う
電車での別れ際で弓張釉薬の指輪を渡したという直哉の決心は、真琴自身が自分が如何に重い女であるかを説明したところで揺るがないところが良かった

あと真琴も弓張釉薬の指輪を作って直哉に渡すと決めた時、泣きながら言っていたのこのセリフが好き

真琴
「完成したら返品不可だからね」

なかなか重い言葉だけど、中途半端な関係を飛び越えるなら一生を添い遂げたいっていう強い想いが溢れている真琴の想いが感じられてよき……

 

「真琴√のさいごに」

そういえば静流さんと紗季校長のお酒(スピリタス)対戦の時の藍先生可愛かったな……
お酒が少ないことに反論してた時の表情がめちゃよい、への字の口可愛い

 

 

【第Ⅳ章 Mon panache!】

『圭 過去編』

「直哉に追いつくために全てを捨てた」

人が生きる時間が有限、天才でも凡人でも一日は24時間しかない
限られた時間の中で何を捨てて、何をするか。それによってのみ成し遂げられる事が決まる

言葉にすると陳腐で聞こえるけど、圭は美のために、直哉に追いつくために、美以外の全てを捨てた

 

「圭の直哉への愛」

圭の目指す美は、直哉が指し示す道の先に見つけるもの


「まだ、とかそういう問題じゃない。
 たぶん、俺は一生あいつの事だけを考えて生きていくと思う」
「だって、俺が一生すべてを捧げないと、あいつには届かないからさ」

”一生を捧げる”っていうのは性別など関係なく、ただ「愛」なんだと思う

圭が大好きな絵画というものの最大目標に常にいてくれる存在、それが草薙直哉であって、圭の思考の中心には直哉がいる
いつもいつも考え、想う、虜にされる。圭の心の中で直哉が占める割合が一番大きい、それって本当の愛だと思う

 

「『二本の向日葵』という画題」

圭が追い求めた『二本の向日葵』
その一本は圭が目標とする直哉であると作中で明言されているけど、もう一本は圭自身の事を指すのだろうか

『二本の向日葵』というものは、圭の求める理想像。圭と直哉が肩を並べる場所まで辿り着く、同じキャンバスの中に二人で立つ。そういう意味が込められた画題なのだと思う

だから直哉と一緒に挑戦したムーア展で『二本の向日葵』を描き発表した

⇒読了後追記
直哉も同じ事を考えていたからこそ、Ⅴ章で書き続けた絵画には二本の向日葵が存在する
直哉もあの絵画の完成をもって、圭に追いつけたと考えていると思う
まあ直哉の事だから、人生最後の瞬間まで圭の事を意識して絵画を書き続けるのだろうけど

 

「名作とは何か」

健一郎と圭との会話の中で、健一郎が発した言葉が腑に落ちた

健一郎
「だが名作といわれる文学は得てして読者に、これは自分のために書かれた、自分だけの作品であると思わせる力がある」

美少女ゲームだろうが、小説だろうが、アニメーションだろうが、漫画だろうが、他のどんな作品でも、僕自身も良いと感じた作品は自分のためにある作品だと感じる
そういう想いが今まで何となく心の中にあったけど、その想い改めて健一郎が言葉として発した事で僕の中でスッキリと理解できた

僕にとっての名作は美少女ゲームなら『マブラヴオルタネイティブ』で、小説だったら『君の膵臓が食べたい』で、アニメーションは『宇宙よりも遠い場所』で、漫画なら『メイドインアビス』だろうな……どれも僕のための物語だ

 

「バイクはいいぞ」

健一郎
「バイクはいいぞ。ロードムービーみたいにさ、いろいろな場所を走って、いろいろな人と会って、いろいろな絵を描くんだ。格好いいだろ?」

健一郎の言葉がバイクの魅力を端的に示していると思う。僕の場合だと”絵”じゃなくて”写真”かな

あと健一郎と圭のニケツのCGと交された言葉が印象的だった、というか僕もバイク乗りだからこそ感情で理解できた(ロックは聞かないけれどw

 

それと連続性云々の話、僕的に言語化していく

景色をただ眺めるんじゃなくて、バイクに乗って流れる景色を見る、同じ景色だけど違って見える。なぜなら景色が過ぎ去っていくことで連続性を見出せるから
一枚一枚見る景色じゃなくて、それぞれが連続性を得ることで得られる感情。これが特別だからバイクを乗り続ける事をやめられない。僕自身もバイクに乗っているとその連続性が心地よすぎて、バイクを降りて写真を撮りたいっていう欲求が萎んでいく
乗り続けるからこそ得られる快感で、一度止まって降りてしまうと得られない。続けて感じるからこそ意味がある

 

「Mon panache!」

「羽根飾り」・「心意気」

Ⅳ章の題目の意味を言葉にしようと思ったけど、いまいち適切な言葉が浮かばない。言葉にしてしまうと煙たく濁ってしまうように思える

でも強いて言えばこうやって思考しようとした事、その心意気を持つことが大切ってことなのかな圭……

⇒読了後追記
う~ん、やっぱり分かんないw(匙を投げる

 

「圭の死」

僕は最後、圭の視界がどんどん黒く霞んでいくところでボロボロと泣いてしまった……

心鈴の心情を考えると涙が止まらなかったです
彼女にとって圭は自分を見つけてくれた世界で始めての人間だし、自分を事故から守ってくれたってことや、圭とのいう唯一の理解者を無くしてしまう恐怖とか、そういう複雑なものが混ざり合っている。そんな心を想像すると辛くて辛くて、、、

でも圭にとっては人生最後の瞬間に唯一の弟子である心鈴に見守られて、自分の人生が幸せであったと伝えられて良かった思う。境遇の似ている心鈴に幸せだって伝えられた事で、心鈴も世界に絶望せずにその後の人生を生きる事が出来たと思うから

 

「さいごに」

ロリ心鈴、可愛いかよ……(荒ぶる精神を落ち着ける

 

 

【第Ⅴ章 D'où venons-nous? Que sommes-nous? Où allons-nous?】

D'où venons-nous?
 俺はどこから来たのかーー
Que sommes-nous?
 俺は何者かーー
Où allons-nous?
 俺はどこに行くのかーー

 

「革命の絵画は、ただ混乱を起こす」

世界を変革する様な絵画は言葉で表せるものではない、言葉にして安寧を得られるものではない、混乱がないものは世界を変えられない
そんな絵画を目指していることが直哉の言葉から伝わってきた

直哉
「混乱無き作品では世界を変える事は出来ない」
「ヤツが俺の世界を変えるほどの絵画を生んだように、
 俺も世界を改変するほどの絵画を描かなければならない」
心鈴
「草薙直哉の世界を変えてしまったその絵画とは、やはり夏目圭の向日葵なのですか?」
直哉
「愚問だ」

言葉で表すのではなく、絵画によってのみ得られる感情をキャンバスへ映し出す。そんな美の本質に挑む直哉の姿勢が伝わってきた

 

「永遠のβ版」

久しぶりの優美との邂逅
彼女との投資話の中でなるほど、と思わされた言葉

優美
「そう、自らの思考が”永遠のβ版”である事にどれだけ自覚的であるかだけだ」

人間って何歳になったとしても自分の信じている思考や論理を更新し続けないといけない、それを辞めた瞬間に老害ってモノに成り下がってしまうんだと思う
老害になるには年齢って関係なくて新しいモノを認められなくなったら、そういうタイミングで始まると思う

 

「独りで里奈の帰りを待つ、優美の心情」

何となく理解できた様に感じるけど、多分僕は優美の心を何一つ理解出来ていないのだろう

男の事が大っ嫌いな優美が直哉を汚すために、モノを咥えるという行為の理由は理解出来る。でも里奈に対する優美の愛情表現(この表現が正しいかは分からない)が一切存在しない様に感じた

というと煙草をフィルター無しで吸うし、野菜は食わないし、部屋は汚いし、そういう優美を里奈は愛してくれるんだろうけど、優美が愛されようとしていないと思った。でも多分二人は愛し合っているから、僕は優美の事が理解出来てない

僕には里奈と優美が何も分からないから、二人の関係を言葉に出来ない。ただ優美の事が辛そうに感じた、けどそれも多分違う
サクラノ詩をプレイ後、里奈と優美の甘い二人の東京生活を夢見てたくらいだから、何も分かっていない

⇒読了後追記
優美は里奈にあえて叱って欲しいから、自堕落な生活をしているのかなって思った
ごめんなさいって色々と謝りながらでも里奈が構ってくれることに愛を感じていたのかな?

 

「藍の孤独」

直哉が優美ところから帰って寝ていたところ、藍がのしかかって、直哉と藍それぞれの心を明かしていくシーン

直哉
「なんだ?藍が誓ってほしい事って」

「私より長生きしてくれ」
「私より絶対に先に死なないでくれ」
「もう嫌なんだよ……」
「大好きな人の死を見送らなきゃいけないのがさ」
「耐えられないんだ」
「私と一緒にいてくれなんていわないよ」
「ただ、直哉は私より長く生きてくれ」
「私の最後の時に、ちょんと元気な顔を見せてくれ」
「私が安心して、すべてを終えられるように、その時だけは私のそばにいてくれ……」
「そうしたら、私はたぶん、自分の生に価値があったと思える」
「幸福であったといえる」

藍がどれだけ孤独に生きていて、水菜姉さんや健一郎、直哉の事をどれだけ愛していたかが伝わってきた
家族として大好きだった水菜姉さんと健一郎を死んで、直哉も居なくなってしまったら藍は完全に独りになってしまう。それだけは絶対に嫌だっていう強いエゴを感じた

藍がこれほどまでに他人に自分の信念というか呪いみたいな言葉を伝えるってことが珍しいと思うし、そういう内容を直哉へ吐露出来るって事が直哉への信頼感が現れてて良かった

 

「しあわせ」

幸せではなく、仕合わせ。
僕がサクラノ詩で感じて理解していた幸福について、その考え方が変革した

サクラノ詩のプレイ時の感想として、僕はこう述べていた

最高と最悪があべこべの生の中で幸福とは何か、
それは苦を味わいながら必死に生きること。
苦を知ることで、対の輝きが煌々と浮かび上がる。

苦があるからこそ、幸福が浮かび上がる
苦という低い場所にいる時があるからこそ、幸福という高い場所に登った時の感覚が味わい深い、忘れられないものとなる。苦は幸福のためのスパイスみたいなものだと思っていた

それは間違いではないけれど、少し違っていた
苦や喜び、どちらも自分の人生の中での出会いとして正直に受け止める。苦を良い事って思って受け止める訳じゃなくて、苦と出会ってしまっている自分の人生そのものを受け止めてあげましょうってこと
生きてきた中での苦痛は忘れる事はないけれど、すべてをひっくるめて自分の人生を愛してあげましょうってこと。

自分の事を嫌わないこと、
自分の事を好きでいてあげること
それがきっと「しあわせ」だと思う

そういえば押し倒される藍
バタバタして抵抗してたの可愛かったなぁ……

 

「香奈のしあわせ」

小学生の時に直哉に出会い、自分の美が全てで無い事に気付かされた。そこから新たな美を求めて努力するも天才たちには届かない
でも届かないなりに、自分が凡人であることを極限まで客観視した独特の立ち位置を確立する。だからアリア(里奈)に勝つことが出来き、直哉との対戦までこぎ着けた

香奈自身の世界を破壊してくれた直哉
香奈へ世界に溢れる美の存在を気付かせてくれた直哉
香奈は苦も幸福も彼女の人生で出会った全てを受け止めて、自分の美を好きでい続けるその姿勢で直哉と対決する。直哉と同じ舞台に立つことはとても大切で「しあわせ」な時間だったのだろうなってひしひしと伝わってきた

あとやっぱり僕は香奈の事好きだなあって改めて思った
なぜなら凡人に寄り添った考えだから共感できるし、小学生の時は体系とかで悪口を言われていたけど綺麗になるように努力したことや、一途に直哉の事を思い続けていたから(まあ僕の様な凡人が香奈と同列だとはとても思えないけどね

想いや信念を貫くってとても大変な事だし、それでも香奈は長い年月(それこそ小学生から)ずっとずっと美を追い求めていた。そして天才との差に絶望しながらも自分なりに進んでいる頑張り屋さん、可愛いぞ香奈

そういえばどうして香奈√は無いんだ……

 

「三人で下る桜の階段」

桜色に囲まれたラストシーン
色んな感情が溢れて泣いた、ポロポロと涙が零れた
直哉と藍と依瑠(える)の三人で手を繋いだ瞬間、涙腺がもう無理ってなった

サクラノ詩では直哉と藍の二人だけで階段を下っていたのが、娘が増えて三人になってる。刻が進んでいる事をまじまじと感じられて、本当に最高な刻だった……!!!!

 

 

【特典小説:凍てつく7月の空】

「すばひび」・「サクラノ詩」・「サクラノ刻」を繋ぐ物語
強き神が音無彩名で、弱き神は人の心にそれぞれ寄り添うもの、その様に感じた

強き神は音無彩名の様にただ独りであっても完璧で、彼女の中で全てが輪廻して世界の全てを体感する。だからすばひびの世界を統べる王の様なもので、あの世界の母親の様なものでもあると思う

あと音無彩名の統べる世界なら、圭が復活する様な世界線があるのかもしれないけれど、多分その世界で復活した圭は圭の様に見えても、心の形は正しいものではないと思う
圭はムーア展授賞式に向かう途中に自分が死ぬ間際も、自分の人生が仕合わせ(しあわせ)だったと思っていたし、直哉よりも先に旅立つ事で直哉を奔らせる原動力にもなれから先に旅立つことも良いんじゃないかって考えていたと思う
だから圭にとってあの瞬間亡くなる事は仕合わせだからこそ、仮に復活させたとしても圭の心は圭ではない

だから圭を生き返らせたとしても心まで圭じゃないって気付いたからこそ、吹と稟は音無彩名の終ノ空の世界であえて何もしなかったのだろうなって思う

すばひびの世界とサクラノの世界が繋がって、とにかく読んでいて面白かった

 

 

【特典ドラマCD:稟と雫の口と口】

稟と雫がどうやって絵画を描いていたか、それは直哉と同じく伯耆伝承の封じられた魂達に全身を蝕まれる苦痛を伴うものだった。雫は稟の苦痛を受け入れるために、感情を捨てて再び伯耆に戻っていった

あのフリッドマンが心配になるほど、稟と雫は自らを追い込んで直哉のために絵画を描き続ける描写が心に響いた

あと最期に稟が自分の痛みに向き合って、雫に苦痛を肩代わりさせずに最期の絵画と向き合うまでの過程が良かった

 

稟と雫の喘ぎ声が可愛いくて、息遣いがえちちでとても良かった……

 

 

【その他 感想等】

以降、筆者の自分語り要素が多いので注意です!
宇那って人間が何を思ったから、読みたい方だけどうぞ

 

「美」

自分の中で美が目覚めようとしている気がする
世界や自然などを描写するための美には絵画や写真、ゲームなど色々な表現方法がある

その中で僕が一番身近なものは”写真”
何となく自分の中で記録としての意味合いが強かったけれど、最近は1枚1枚に捧げるテーマみたいなものを意識する様になった
(これはageの『君がいた季節』の影響が強いけれど

写真1枚1枚を拘るようになってきたので、どうやったら写真っていう空間の一部を切り取った二次元画像の中に空間の広がりや奥行感、ファインダーを向けようと思った僕の感情を如何に表現するかを考えている
まあ写真家を目指している訳ではないけれど、自分が想った美しさを写真に込めて誰かに伝われば嬉しいなって思う

そして僕が生み出す写真っていう美に”価値”を見出してくれる人がいると、最高に幸せだろう

ああ、美って、面白い
今までの自分が美によって変革していく

 

「しあわせな酒は旨い」

ウイスキーの味がしあわせな記憶を思い起こさせる
自分語りになりますが、下の写真「シングルモルト余市」は僕が北海道に行って蒸留所見学した思い出の銘柄のお酒
(写真のものがお土産で買ったやつじゃないけれど

楽しかったこと、辛かったこと、誰かとの思い出、過去の自分の気持ち、色んな感情が駆け巡る
自分の過去全ての出来事を思い出して、しあわせだって思えた

ニッカウヰスキーシングルモルト余市

プレイし終えて北海道旅行当時の写真を見直した
北海道の真っ直ぐで広大な道を走っていた感覚は、今でも鮮明に思い出せる

見直していて、ふと目に留まった写真
一面に広がる向日葵畑、沢山の向日葵が太陽に向いていて綺麗だったから、バイクを止めてちょっと写真を撮った

羊蹄山を望む、ニセコの『向日葵畑』とバイク

当時は学生だったから旅の装備も全然揃っていなくて、バイクもヴェスパやマッハよりも排気量の小さい125ccだけれど、それに勝る好奇心があった。どこへでも行ける、そんな気持ちだった

向日葵を眺めながら、日本でもこんな場所があるんだなと気が付いて、知らない事・知らない場所の事をもっと知りたくなった、そんな気持ちに駆られたのを覚えている(そういえばこの日は北海道なのに結構暑かったなあw

 

「余韻」

ウイスキー(余市)にコーヒー(カラシトラジャ)を漬けた、サクラノ詩と刻の合作みたいなものを飲みながらアートブックを読む

色々なCGを観ていると懐かしいなあっていう想い。素晴らしい想い出として僕の心に刻まれた一方で、懐かしいと感じてしまう過ぎ去った過去になってしまったという意味での悲しみがほんのりとある

お酒の味はコーヒーの華やかさとウイスキーモルトの旨み、そしてアルコールの辛み。でも不思議と最初の口当たりはまろやかでふっくら甘い
そして色も漬ける前と比較してかなり濃くなった、ダークブラウンみたいなチェコレートを思わせる色

ウイスキーをいう時間を呑む飲み物だからこそ、余計に刻の刻みを意識した

そういえば直哉お前!余市まだ残ってるよな!!!
藍先生と結婚した時なんで飲まなかったんだよおおお!!!!
(もしかしてそ僕達には秘密ってことか……?

 

「物語を彩った登場人物たちへ」

各々へ僕の想いを綴ります

【直哉】

本当にカッコいいな!お前は!!!

生き様も、絵画への向き合い方も、女性観も、人付き合いも、影の努力も、苦悩する姿も、何もかもがカッコいい
男性から見てもこんな漢がいれば、惚れるわ!!

 

【圭】

まず圭の過去を知る事が出来て良かった
すっとぼけた様な態度の裏に壮絶な思いや覚悟がある事を知れて、圭の事をもっと好きになれた

心鈴の事を救うためにバイクでトラックに突っ込む判断を出来るところが、本当に凄い。自分が死んでもいいから、誰かを救うって行いはまだ僕には出来ないな……

圭の魂が安らかにある事を願ってます

 

【藍】

頑張らない直哉を肯定する唯一の存在として、直哉を癒しているのを見て尊いなあと思った

生きるために色々な事に翻弄し続けられてた人生だったと思うけれど、きっと藍なら依瑠と直哉といつまでもしあわせに生き続けてくれるだろうな

 

【心鈴】

圭の弟子として、真摯に美に向き合う姿が好きだった

暗い闇夜の様な瞳だけど、その眼差しはいつも真理を見つめていて、とても優しくて聡明な子だなって思った。直哉もこの子に惹かれるのはとっても納得

風になびく長い髪の毛が素敵、すき

 

【静流】

第二の主人公ですか?あなたは!?

直哉並みに裏で誰にも明かさずに研鑽する姿がとてもカッコよかった。可愛い人ではあるけれど、僕にはとてもカッコいいって感じる人物だった

生き様がすき

 

【麗華】

軸がぶれない意志の強さを感じた
麗華さんが居たからこそ、サクラノ刻の物語が成り立ったって思う。必要不可欠な存在

不器用な人だなって思った事も多いけれど、けどそこが良い

 

【真琴】

直哉と比較すると、社会人感が出てて良い!

直哉と結ばれた未来では我儘言って、是非とも直哉を苦しませて欲しい

 

【紗季】

敏腕校長、色々凄すぎる……
器用な人なんだろうけど、家族に対しては中々に不器用。ゆっくりでいいから真琴と和解して欲しいな

あと健一郎の事を懐かしみながら話す所が印象的だった、女性はいつまでも経っても乙女だなって思った

 

【香奈】

一生懸命でとても好き
枕さん、香奈√はどこですか……

 

【フリッドマン】

サクラノ詩と比べると登場回数がかなり増えたなって

大事な所でサポートしてくれてとても心強かった、味方だからいい人だけど敵になったと思うと死ぬほど厄介だろうなw

 

【放哉】

僕は割と嫌いじゃない

絵画は美のためにあるって信念は揺るがないし、何だかんだ圭や寧の事を気に掛けている姿が印象的だった
直哉へ吹っ掛けた言葉には色々と棘があったけど、視点を変えると的確に的を射てた事は確実

放哉の大学生時代(健一郎との出会い)を見てみたいって思った

 

【寧】

難しい子だけど、ひたむきな姿が良かった
応援したくなる存在

ゆっくり無理しないペースでいいから少しでも進んで欲しい、放哉先生と同じ様な気持ちかな

 

【稟&雫】

直哉のために頑張ってくれて、本当にありがとうって気持ち

学校の先生な稟をもっと見てみたいって思った

 

【トーマス】

ケータハムで直哉を送るシーンは痺れた!お前は最高だ!!!!!

あと車のナンバーが”4545-1919(シコシコ-イクイク)”な所もトーマスらしくアホっぽくて良かった(褒めてるよ

 

【坂本、村田】

芸術家オジサンズ、坂本をオジサンは失礼か(笑)

ボイスも付いて登場回数少ないながらも、二人とも独特な大人の色気があって好き

 

【優美&里奈】

不思議な関係性だな~と
最後までクリアしても多分二人の事を理解出来てないな

里奈の服装がちょっとゴスロリチックで好き、真ん中の黒いレースがめちゃかわよ

 

 

『最後に、読んでくださった方へ』

ここまでお付き合いありがとうございました。
僕の気持ちと寄り添って頂き、本当に感謝です

この拙い感想から何か新しい発見や、気付きがあったら嬉しいなって思います
何か思う事、伝えたい事等あればコメント頂ける幸いですm(__)m

 

ーーー

 

発売から16日間
サクラノ刻だけに向き合った、しあわせな刻でした
枕さんありがとう、最高の物語です

 

 

※2023年5月28日追記
香奈の事が好き過ぎて、二次創作小説を書きました
↓誰でも無料で読めます↓

una-008.hatenablog.com