物語は心の栄養素

アニメや美女ゲなど、”物語”で感じた想いを保管するためのブログです

美女ゲ『カルタグラ~ツキ狂イノ病~ FHD 』感想・考察 ~狂うほど一途で、独占的な愛が紡ぐ物語~

Innocent Greyカルタグラ~ツキ狂イノ病~ FHD 』タイトル画面
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「ミステリー」・「猟奇殺人」・「謎解き」を含む物語が、
魅力溢れる個性的な登場人物達によって展開されていく

幸せだったり、
悲劇だったり、
狂っていたり、
普通だったり、
多彩なエンディングの中から
きっと貴方の好きな幕引きに出会えるはず

 

また”殻ノ少女シリーズ”のキーワードとなる『千里教』『天恵ノ会』『祠草家』、そして冬史や八木沼、和菜、秋五などの人物の過去を知る事の出来る貴重な物語

【 ↓ 公式サイト様 ↓ 】

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※主にキャラ別の感想となります
 誤字や文法間違い、解釈違い等あったらすみません
 寛大な心でよろしくお願いします

 

以降、ネタバレ注意!!!!

 

【和菜】

『純粋な元気っ子』
元気でおしゃべりで、秋五の話を全然聞いていないところが好きw
あと秋五がそんな五月蠅くてどたばたしている和菜の事を、すごく雑に扱っているのが良かった
あと会話の最後の「~、はいっ」が元気で可愛い

 

『秋五と由良の過去を聞いて』

過去の姉の事を抱いていたとしても、今の秋五が自分自身を見てくれているから大丈夫って素直に秋五に伝えるところが良かった
内心複雑な想いも抱いていたんだろうけど、素直な姿を見せることが和菜らしいし、そんな姿を秋五から愛して貰っているから頑張ったんだろうな……

 

『グランドエピローグでの由良との対峙』

和菜と由良の差。それは目の色が違うという些細な事、そこから全ての運命が狂い始めた

由良と対峙する和菜の事をみて、和菜は本当に純粋で馬鹿な奴だなって思った(いい意味で
姉である由良の事を何も知ろうとせず、自分の夢だけを追いかけて、その先で秋五と出会い恋をして結ばれる
自分はもう既に幸せになれたから、由良のために死んでもいいって平気で笑顔で言える突き抜けて純粋な馬鹿だと感じた

実を言うと僕は由良との対峙を見るまで、和菜の事を余り好きでは無かった。ただひたすら明るくて、それほど裏も無く秋五の事を好きな無邪気な女の子くらいにしか思ってなかったから
だけどこの無邪気さも、突き抜ければこれだけ美しく輝く魅力足り得るんだな、って思わされた

 

『トゥルーエンド』

最後に妊娠した和菜のお腹に優しく秋五が手を添えるCGが、優しさと暖かさに包まれていて良かった(終始物語では冬の冷たくて青い感情を感じる事が多かったからかな

でもとてもとてもあったかっくて佳いエンドだけど、狂気が足りない気がする(うん、毒されているな……

 

 

【由良】

『グランドエピローグ』

誰よりも長い時間、深く深く秋五の事を想っていたのに選ばれなかった

色彩の抜けた目で差別され、家族からも隔離され、軍部の人体実験を受けてもなお秋五の事を考え続けた。しかし自分とほんの少ししか違わない妹に、想い人を奪われた悲しみは想像を絶するものだろうって感じた

きっと由良の気持ちは、彼女自身にしか分からないんだろうな……

 

『和菜トゥルーエンドの由良の最期』

由良の秋五への深い深い愛に満ちた狂ったような想いが、彼女の最期の言葉に現れていると感じた

「だから、わたしは棘になりたかった。あなたの心に一生消えない疵を作る棘に……」

棘って言葉から由良の事を安直だけど薔薇ようだとも思った
綺麗だけど抱きしめると傷がついてしまう、その傷は一生消えなくて、薔薇が枯れてしまってもいつでも思い出せる様な、そんな感じ

 

『海の光END』

最期のCG、由良の笑顔
罪の意識を抱え続けていた由良の憑き物が落ちた様な表情を見れて、僕の心も安らいだ
千里教時代や和菜にした行為は許されないものだけど、由良自身がそれをずとずっと忘れずに考え続けていたところに、彼女本来の真っ直ぐで真面目な性格が滲み出ていた気がする(ただ現実から逃げて終わり、って訳ではない所が良かった

あと幸せな最期を迎えて、僕自身涙が溢れるかと思ってたけど違った。嬉しい気持ちや悲しい気持ち、秋五と由良の家族を祝福したい気持ち、残された和菜や冬史の想い

色んなことを想って、渦巻く感情が複雑だ
決して雪の降る冬の海の様に鈍く冷たい灰色ではなくて、温かなものな気がする。肌を焼く蒼い初夏の陽射しの様な感じ

 

『海の影END』

全てのENDの中で一番好き。

自分の娘に秋五の心が向けられる事に嫉妬している気持ちに気付いた由良が、自ら命を絶つ最期

雪と夜、色彩が抜けた瞳、灰色にまみれた由良が虚空を見つめるCGがとても佳い
人間の汚い気持ちや、心の奥ではどうしても他人の事を信じられない気持ち、自分だけを見つめて想って欲しい独占欲という名のわがままな気持ち。そんな暗い心が感じられて、僕は由良の事を好きだなって思う
可愛らしいから好きって訳じゃなくて、性格が良いから好きって訳じゃなくて。汚くて醜い心を自覚して、それでも自らの行動を選択して自分の人生を決めている事が好きだ

カラフルで色彩に満ちた世界じゃなくとも、灰色だけでも表現できる美しさっていうのかな?
そういう醜いからこそ描ける心情が好きだ。海の光ENDでは泣かなかったのに、このENDの由良の虚空を見つめる横顔を眺めていると涙が溢れてきた

 

 

【秋五】

『リアルな、人間っぽい』

凛からの奉仕を完全には拒まないところが、貞操観念ガチガチの生真面目じゃない人間味を感じられてよい

 

『誰にだって優しい秋五』
凛にだって、姐さんにだって、初音にだって、傍にいる女性が助けを求めていたらつい優しくしてしまう心の持ち主だと感じた
でも誰にでも優しいって事は一番を決めれないって事、ある意味これは残酷な事だなって思った

というか誰にでも優しくする事で由良と別れてしまった過去を忘れようとしているというか、贖罪の気持ちというか、そんな思いも感じた

 

『初音END』

初音から初めてを奪って欲しいと懇願された秋五は彼女を抱く。抱いてしまって深まった彼女への愛情から、身請けを提案するが断られる

この時の初音の心情を考えて目が潤んだ
大好きな秋五から一緒になろうと言われたことはとても嬉しい事だけど、姐様から受けた恩を返すために遊女として働く事を選ぶ。自分自身の未来のための選択を、自分の意志で決めている初音は、子供じゃなくて大人だなって感じた

そういえば初音を口説き落とすところとか見たかったな……、でも初音が幸せそうなのでOK!

 

『秋五の浮いた肋骨いいな……』

和菜とのえちちシーンで思ったこと。戦後という物資の乏しい時代の中で、腹一杯食べられていないことから痩せていて、肋骨がしっかりと浮いてて良かった

あと軍隊や警察の経験から、大胸筋や腹筋、股間に伸びるすらっとした腸腰筋から引き締まった体を感じられて良かった~

 

『旅立ちEND』

秋五は由良の過去に対して全ての決着をつけるために旅立った。だけどその旅立つ先が何なのか、不安な気持ちに駆られた

最初は列車に投身自殺するのかと思ったけど、違った。由良の待つ場所に行くために死を選ぶんじゃくなて、彼女を追い詰めた人に復讐していくのかな……?
由良の両親や、由良の人体実験に関わった人、差別していた村の人。そして最期は秋五自身が自殺するのかなって

このモヤモヤする気持ちが案外トゥルーエンドよりも、好きかもしれない。見えない未来がある事が僕は好きなのかもしれないな……

 

 

【冬史】

『味噌!』

味噌に拘る冬史さんめちゃ可愛い、毎朝朝飯作ってやる宣言も最高に可愛い。いいお嫁さんになるって褒められて照れるところも可愛すぎる

 

『膝枕!』

いつもカッコいい冬史とのギャップが凄まじく良い。優しく頭を撫でてくれるとか最高かよ……
冬史さんの赤い瞳がカッコよくて、優しくて、ルビィ見たいに綺麗で好き

あと秋五に抱かれた次の朝、握り飯とみそ汁だけ残して先に出かけるのが冬史らしい……。秋五の喜ぶ顔を想像しながらウキウキで作ったんだろうな

 

『ロングからミドル!』

腰まであった長髪を、肩程度まで思い切って整えた経緯が知れてよかった。火災で髪の毛が傷んだからだったんだなあ

 

『割烹着!』

破壊力!!割烹着姿で料理を褒められる姿、最高かよ

 

『綺麗な躰』

一糸まとわぬ冬史さんの姿が本当に綺麗。無くした腕も素直に描いてくれるところから、余すことなく冬史の魅力が伝わってくる
引き締まってて、それでいて柔らかそうな白い肌と銀髪がすき

 

『ENDラストのCG』

煙草を咥えたまま冬史から秋五へ、火を渡す姿が素敵すぎてモニタの前でリアルで「うわあ」って声が出た。佳い信頼関係だなぁ

 

【凛】

『乙羽の死』

乙羽が殺されてしまった事で、誰しもが急にいなくなってしまう事を自覚する。自分が遊女であるから、秋五との身分の違いに遠慮して自分の気持ちを伝えられていなかったけど、正直に秋五に想いを伝えるところが良かった

ちゃらんぽらんというか遊んでいるというか、一見そういう雰囲気に見えるけど秋五の事をしっかり想っていて好きになれた

 

『凛END』

片眼は奪われてしまったけど、秋五と幸せな生活が見れて良かった

「なんでもない日の全てが―秋さんと一緒に生きていける事が楽しいんす」

この凛の言葉がじんわりと胸に染みた(凛の澄ましたような笑顔が見れて本当に良かった……
このENDを用意?してくれて、イノグレさんありがとう……ありがとう、、、

最期の手を繋いだCGも佳い~~~

 

 

【アバン考察】

ゲームスタート時のOPまでの導入部分について、時系列やその意味について考察してみました

OPの考察は公式より発売されている”カルタグラ~ツキ狂イノ病~ 「孤独の海 イラスト&絵コンテ集」”に詳しい内容が載っているので省略します

(ⅰ)
ごおごおという水の音が私の耳を支配している。
海原に身を委ね、沈み往く私の頭の中に響く音。
深いうねり、波と私の鼓動が混じり合う。
音に浸食され、頭の中が真っ白になる。
暗闇に塗りつぶされていた私の心が微かに安らぐ。
何故私は生きているんだろう?
このまま沈んでしまえば楽になれるのだろうか。
ゆらりゆらりと揺蕩いながらそんな事を思う。
誰からも愛されない私が、こうして海に抱かれている。
愛されたい。
穢れた私にそんな資格があるのだろうか―。

(ⅱ)
ごおごおという水の音が私の耳を支配している。
波の音が朧気な意識の大半を充たす。
ゆらゆらと揺らめく水面が頭上に見えた。
こぽり、と空気の泡がひとつ上っていく。
これが無くなれば、私も消えてしまうのだろう。
死が近くに在る。
だからこそ、愛が欲しい。
願わくは、生まれ変わった時には人に愛される存在でありますように。
沈み往く中、海が私の名を囁いた。

(ⅲ)
ざあざあという波の音だけが聞こえる。

倒れ伏した私の頬に触れる、ざらついた砂の感触。
冷え切った身体は動かない。
私の心も動かない。
このまま消えてしまえばいいのに。
―聲が聞こえた。
天からの聲だ。
固まりかけていた私の心が、どくん、と震えた。
生かされている。
私は、天に生かされている。
重い身体を精一杯動かす。
腕を上げ、膝をつき、身を起こして海を見る。

昇り始めた陽の光が水面を照らしていた。
揺らめく光の波。
眩しさに眼を細め、いつしか私は嗤っていた。
そして私はあの方と出逢う―

アバンは『海の影END』の途中(ⅰ)、エンディング後(ⅱ)・(ⅲ)の描写だと思う

  • (ⅰ)秋五との子供が出来る前の描写
  • (ⅱ)『海の影END』の最期に海に身を投げた続きの描写
  • (ⅲ) (ⅱ)の続きで身を投げた由良の元に秋五が声を掛け、助けた描写

(ⅰ)の”愛されたい”って言葉から秋五にちゃんと抱かれていた『海の影END』の途中ではないのかもしれないけど、(ⅱ)に続いている事と『海の影END』の途中で由良が夜に一人で海辺を歩くシーンがあったので、子供が出来る前の描写だと考えた
あと由良の”愛されたい”って言葉はいつ何時でも愛する人(秋五)と一緒にいたいって意味だから、秋五が集落の集まりとかで由良から少しだけの時間離れる事があって、そこが彼女にとっては堪らなく嫌だったんだろう

(ⅱ)の”生まれ変わった時には人に愛される存在でありますように”って言葉が、由良自身の境遇をどれだけ呪っていたか感じられて心に響く言葉だと感じた
偶然に瞳の色彩が薄く抜けていた事や、子供の事を顧みない親の元に生まれてきた事や、愛した人が出征で離れ離れになった事や、人体実験の被検体にされてた事や、心を読む力を得たせいで新興宗教の教祖にさせられた事など
普通に生まれて、普通に生きていたら得れたはずの愛が由良にとっては幻の黄金の様に、眩しく煌めく得難い何かになってしまったんだと思う

(ⅲ)の”嗤っていた”って言葉は、孕んだ自分への子供が冬の海への身投げによって犠牲になった事が感覚的に分かったからだと思った
冬の海への身投げで由良自身が極度の酸欠や低体温とかに陥る事で、多分お腹の子供は犠牲になってしまったのだと思う
娘に秋五の愛情が向く事を恐れ嫉妬している由良だから、自分だけに秋五の想いが向けられる様になったから嗤ったのだろう

 

 

【その他】

・全体的にCGや背景、立ち絵の彩度の低い感じが戦後の時期を感じてよき

・千里教の地下の修行所へ寸での所に駆け付けた、八木沼の事をカッコいいと思ってしまった(女性に対する態度が悪すぎてそこだけは許せませんが……

・ナナが狂ってて怖い……。過去に何があった?どういう環境で育った?凛を殺した犯人の仕業を知ってて見逃すほどの知的好奇心、何なんだろう(あと七七の悦びENDどのENDより一番怖い

 

『特典小説”八重の櫻の樹の下で”』

楼子との馴れ初め、出雲での事件のお話
玲人や魚住が出てきて、殻ノ少女ファンとして少しニヤリとしたけど、七七が既に狂って怖い……何なんだこの子
あと有島さんから秋五へ「眼光が鋭いから前髪を下しておけ」ってやり取りがあって、秋五の眼差しを見てみたいなって思った

 

 

【さいごに】

ここまで読んで下さり、ありがとうございます
僕の感じた気持ちや想いから、新しい発見とかがあったのなら嬉しいです!

 

ここからは僕のひとりごとみたいなものですが、
殻ノ少女シリーズ”からイノグレさんのゲームをやり始めた身としては、グランドエピローグ付近の怒涛の展開にクリックが止まらないほど面白かった。ひたすら続きを読みたいという気持ちに駆られる没入感のあるゲームで、カルタグラは最高でした!

あと”殻ノ少女シリーズ”や”FLOWERSシリーズ”と比較して、謎解き部分が少なくてもっともっと来いよ!!イノグレさん!って終始思ってましたw

これで最後ですが、本当に由良と海の影ENDが大好きになりました。イノグレさんのゲームでしか味わえない様な感情が最高です!!!