物語は心の栄養素

アニメや美女ゲ、漫画などの”物語”の感想をまとめたブログです

美女ゲ『たねつみの歌』感想 ~同年代の親子三代で、潰える4つの国を看取る旅に出掛ける物語~

ANIPLEX.EXE『たねつみの歌』タイトル画面
©Aniplex Inc. All rights reserved.

『あらすじ&物語紹介

時間を超越した同じ年の親子三代が揃い、
終わっていく4つの国を看取る旅に出る物語。
短くとも壮大な旅を通して、以下の様な内容が描かれていく。

  • 親子という関係性が生じさせる罪
  • 生きる事と自分の人生を閉じ方
  • 他人の死を受け止め方

 

【 ↓ 公式サイト様 ↓ 】

tanetsumi.aniplex-exe.com

 

以降、ネタバレ注意!!!

 

※感想は概ねプレイ時の時系列順です。
 誤字や文法間違い、解釈違い等があるかもしれません。
 あくまで個人的な感想なので、寛大な心でよろしくお願いします。

 

 

【プロローグ】

『みすず、何て良い子なんだ…』

みすずは母親と父親と母親の両親である祖父たちに愛されて育ったんだなって、言葉の節々や行動から感じる。

具体的に言うと前向きだし、周囲の人にちゃんと感謝を伝えるし、偏屈になりかけている祖父の事もそれを含めて認めて一緒に暮らしているところ。

 

『若い頃の陽子、めちゃ元気』

若い頃の陽子の性格は以外だなって印象。
外に出られなかったから、アクティブな事に憧れるのは分かるけど元気すぎないかな…?この子(笑)

あと持ち物もちゃんと持たずにみすずに会いに来ているところに、計画性の無さや旅の経験の少なさを感じて、陽子らしくて良い!

 

 

【春の国】

『姉姫様かわよ』

小さい身体に似合わない割と立派な角と、長く伸びた眉?が龍神族って感じがして良い。
あとちっこいのに態度がでかいのはギャップあって可愛らしい。

陽子に責められて「不敬!不敬!」言っているのも可愛すぎるw

読了後追記
この頃はまだ平和な旅だったなあ…w

 

『神々の国に無いもの』

生まれながら家族というものが存在しない。だから自分の与えられた役割を全うする事が生きるという事。
そして死も存在していないから、その役割をただ平坦にこなすだけが全て。

きっとそれぞれの国で描きたいのはその反面教師で、家族の大切さと役割を自らが決めるってことなんだろうなきっと。

読了後追記
作中の国の中で唯一、自分自身で選択(冬の国に行く)をした猫は特異なキャラクターだったのだと再認識。
そして猫は哲学の命題を解く役割を自分自身で見つけ、実行している姿を見て生きているなって感じた。

 

『SF物語としての没入感』

普段は分かりやすくて簡単な日本語を使っているけど、ヒルコが国のルールや神々の世界の仕組みを語る時には敢えて難しい言葉(意味の分からない言葉)を使っている気がする。
その効果としてプレイヤーも3人の女の子達と同じ様な条件や状態で、異世界を旅を出来ているって感じられて没入感があり良い。

 

 

【夏の国】

『知っている、知らないの違い』

僕達プレイヤーはシオミが頑張って事実を婆さんに伝えようとしている努力を知っているから、シオミの事を可愛らしい思う。
そしてシオミが実際に混乱した人(津波)を見て絶望して、彼女の考え方が変わった過程を知っているから、プレイヤーである我々は彼女に好意的な印象を持つ。

しかしその反対に夏の国の婆さんや取り巻きは、巫女やヒルコの言う混乱した人の力を知らない。
知っている、知らない、その違いが物事への理解や判断に必要必要不可欠だし、知ろうとしない事は罪だとも感じた。

 

『人の醜さに付き合い生きること』

夏の国はたねつみを成し遂げられずに、混乱した人によって飲み込まれて壊滅する。

しかし生き残った夏の国の人々は王はたねつみを成し遂げて死に、婆さんは王を追って命の投げ捨てたという欺瞞に満ちた物語にすがりつく。
生き残った人々は自分たちは悪くないんだと罪の意識から逃れる様に、王と婆さんの噓にまみれた行動を称賛する。

そんな嘘まみれの希望にすがりつく夏の国の人々を見て、ヒルコは感情を爆発させた。

ヒル
「汚い……醜い。僕はこんなの、嫌だ。許せない」
みすず
「人ってどうにかこうにか生きようとする生き物だから」
「その足掻きって、綺麗なもんじゃないよ」
「他人に許されて生きるわけでもない」
ヒル
「……姉さんは生まれたから、汚れているんだ」
「僕は生まれてこなかったから、純粋なんだ。こんな醜いもの耐えられない」
みすず
「じゃあ今生きて、成長しな」
ヒル
「僕は嫌だ」
「許せない。許したくない……」

ヒルコはその純粋さゆえに怒りをあらわにするが、一方でみすずは意地汚くとも生きる夏の国の人々の事を許しはしないが存在は肯定する。

人は皆綺麗に生きている訳ではないって悟るみすずの考え方を見て、とても大人だと感じた。
きっとみすずは幼い頃に母親が死に、父親は単身赴任で、祖父たちは幸せながらも時折口論を始める事がある、そんな家庭環境で育ったから達観しているんだろうなって思う。

それと夏の国の物語でたねつみの歌の面白さが滲み出てきたとも思う!!

 

 

【秋の国】

夏の国で荒んだ心を癒していたので、感想がほぼない……w
ただ狐の奥様が旦那さんの事大好きすぎて、行動や言動に溢れ出る所は可愛かった!!

 

 

【冬の国】

ヒルコの嘘(家族ごっこ)』

ヒルコは神様だから人間であるプレイヤー達が理解しえない感性の持ち主だと思えば、彼がしていた家族ごっこや嘘を付いた事をある程度は認め許す事が出来るって思う。

ただ全て噓で夢だったと言われてしまえば興が覚めるのは事実。
しかし全て無かったと言われたとしてもみすずが諦めずに生きていく様は素晴らしかった。

 

『みすずがヒルコへ挑む生き様』

ツムギを空飛ぶクジラ?から助け、飢えたオオカミが群れる平原を抜け、断崖絶壁の氷の壁を登り、ヒルコに挑んでいく様は感動以外の何者でも無かった。
次から次へとみすずに困難が押し寄せてきて、それを文字通りに死に物狂いで乗り越えていくのを見て、感情が揺さぶられた。

ヒルコからこの世界を旅した事は噓であり茶番だと言われたとしても、みすずが過去に感じた母親(陽子)からの愛、祖父母たちと過ごす温かい家に帰りたいという願いを胸に抱いて死に物狂いで前に進んでいくのが、まさしく生きていくって事なんだろうな。

あとツムギちゃんもママのために頑張ってい、とても健気で良かった…(いい子や

 

『猫の考える哲学』


「生は暗く、死もまた暗い―その命題に我輩は疑問ない。問いとは、その続き」
「では一体、何が明るかったのにゃ……暗きものをつくった明るさとは、何だったのか。何が生を、そして死さえも暗くしたのか」
「我輩は本当に暗い国で、それを捜しているんだにゃ。本当に暗い、わずかな光さえ見逃さぬこの国で」

生も死もどちらも暗いならば、明るさというものがどこにも無い。
だけど生を暗いって感じているならば、明るいって感じる何かが存在するはず。
そんな”明るさとは何だったか”を猫は哲学とし探し求めてる。

 

【その他感想・考察】

『”たねつみ”の解釈』

物語を通して”たねつみ”には以下の3つの意味があった様に感じた。

  1. 種摘み
    ・命を刈り取る事、死
    ・たねつみの儀式や作中の世代交代(国の終わり)的な意味
  2. 種罪
    ・生まれた事による罪、生きることの罪
    ・子は生まれる事で大人を親に変えるという罪を犯す
  3. 種積み
    ・親から子へ、積み重ねていくように子孫を残していく事
    ・繁栄した春、夏の国で自らの種の反映を示す様に塔を伸ばす事

 

『生と死の描かれ方』

各国で生と死が表現を変えながら、象徴的に描かれている様に感じた。

  • 春の国:食料として自らの手で殺める
  • 夏の国:自然災害(混乱した人)による大量死
  • 秋の国:熊がうろつき、死と隣り合わせ。死は近くにあってでも生きる
  • 冬の国:生の存在数が希薄な世界。死は生命を喰らう事で次の生命の糧となる

春~冬にかけて徐々に命の尊さが重くなっていくように、物語が進行している様に感じた。
いきなりスパルタンな国(冬)じゃなくて、春から徐々に慣らしてくれたお陰でプレイヤーとしては生と死に関しての描写を受け取りやすかった(物語序盤でみすずが海獣の脂の獣臭いスープをすすっていたら、多分ついていけなかった気がするw

 

 

【雑多な感想】

ここからは感じた事を雑多に書いていきます。

特殊な切り口(親子三代同年代で同時集結)で描かれる家族ものだったと思うけど、上手く物語としてまとめていて、読んでいて楽しかった!

あと僕は旅好きな人間だから、三人が色んな国を巡って自分とは違う価値観に触れる様子や、見たことない景色を見て感動する様が「良い旅してるな~」と感じて面白かった。
プレイヤーとして三人と一緒に色んな国巡る旅に出掛けられてよかったです!!

 

個人的には三人の中だとツムギ、その他国の人だとシオミさんが好きでした。

ツムギの好きな所は、冬の国でみすずを背負いツムギが山を登るところや、いつも論理的で誰かと不器用にぶつかってしまう素直さかな。

シオミさんの好きな所は、津波を目の当たりにして考え方を変えて婆さんに避難すべきと言った所が芯が通ってて好き(シオミさんは幸せに生きて欲しいな…

 

さいごに。

クリア後、大作のプレイを終えたような余韻に浸れました。
プレイ時間はそれほど長くはないけど、これほどまでに読んだ感が出る物語を作ってくるのは、さすアニプレックスEXEって感じ(これでロープラってまじかよ…w

あとシナリオライターKazuki先生の国シリーズをめちゃプレイしたい気持ちになりましたね!!!