物語は心の栄養素

アニメや美女ゲなど、”物語”で感じた想いを保管するためのブログです

小説「よるのばけもの」感想・考察メモ


画像引用元URL:https://www.futabasha.co.jp/introduction/2016/NightMonster/
www.futabasha.co.jp


いじめを扱う本書
読み進める心が痛いけど

外見からは分からない、
心の奥底にあるものに向き合う

自分を知るための物語

※以降ネタバレ注意!!



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「表紙考察」
読了後に見ると色々感じれて良い!

まず構図から。
上半分は大きな月と夜の教室で邂逅する二人、月明かりに照らされる情景が夜の異型物語が連想される。
下半分には机に二人の心情が映っている。

次に机に映る二人の心情について。
安達は夜のばけもの姿が映る、おめめが光ってて格好いいね。しみじみ男の子は格好いい何かになりたい、そんなものですよね。

そして矢野さんは映っている表情が、上半分と下半分(反射部分)で違うんですよ!!(ここ大事
上半分はにんまり笑っていて、下半分は何かを訴えるような悲しい表情。見た目と内心のギャップ、人間って難しいですよね……
表紙の時点で、矢野さんが色々なものに怖がっていることを示されていて、気付いたときは本当に驚いた(本当に良い表紙

小説における唯一の一枚絵。
よく見るとこだわりが感じられて味わい深い。
ずっと眺めたくなる。


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「矢野さんが井口さんをビンタした理由」

これは間違いなく、安達が気にかけている井口さんを守るため。
ビンタという行為は、クラスの同調圧力という暴力が井口さんへ向く前に、矢野さん自身が明確な絶対悪となるためのもの。

恐らく、矢野さん自身は全ての人を守る慈愛に満ち溢れている性格というわけでは無いと思う。
安達が矢野さんへ向けている気持ちや行動時間のようなものが、井口さんへ少しでも向くのが嫌だった、そんな思いがあったのかな?(女の子の心は難しい…)


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「あいさつを返した日、安眠できた理由は?」

端的に言うと、自己をちゃんと認識して、選択すべき未来を自覚して安心できたから。

矢野さんに対して、ばけものとしてでもなく、クラスの同調意識に毒された状態でもない、自分自身の心情に正直になって彼女に対し向き合い始めたゆえに”あいさつ”するという行動を選んだ。

ばけものとして矢野さんと出会う前、安達は安達で日々の生活にもやもやを抱えていた。そのもやもやが安達の心に積り積もっていき、よるのばけものとして成長していった。

そしてよるにばけものが形を変えたり、空を飛んだり、火を吐いたり、自分に関係することを変革する力を持っている。
この力は安達自身が周辺の環境に屈せず、変わりたい、変えたい、そんな心情からくるものだと思う。
想像することは人間が得た力、FAVORITEさんの”さくらもゆ”に近いものを感じた。


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「なんで矢野さんは双葉さんの本を投げ捨てた?」

うーん、読み足りないからか理由がわからない。。。

矢野さんがいじめられるきっかけとなった明確な出来事だから、彼女なりに何か思うことがあって行動したものだと思うけど……
まあでも中学生だからふとしたことで、衝動的にやってしまう幼さのようなものを秘めているかもだから、何とも…、言えないな。


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「さいごに」

読んでて終始、心がチクチク痛かったですが、最後に安達が一歩進み始められて良かったです。
住野先生の言葉と文章が更に好きになりました。

住野先生作品を触れるのはキミスイに続き二作目、先生の作品は自らの意識で選択して、その行動を選び取る大切さを教えてくれる、そんな印象を受けました。

辛いシーンが多かったけど、序盤の矢野さんセリフ「だいじょー、ぶい」が可愛くて、可愛くて、希少なあったかいシーンでとっても大好き。


初めてスマホだけで感想を書きましたが、これが中々に辛い(笑)
キーボードが恋しくなりました、やっぱりパソコン大正義。