物語は心の栄養素

アニメや美女ゲなど、”物語”で感じた想いを保管するためのブログです

アニメ『駒田蒸留所へようこそ』感想 ~蒸留所とお酒という家族を守るために奮闘する物語~

駒田蒸留所へようこそ ©2023 KOMA復活を願う会/DMM.com

 

独楽(KOMA)というウイスキーが軸となり、
蒸留所とお酒という家族を守るために奮闘する物語。

PAお仕事もの、ウイスキー好きにとっては堪らない作品


↓公式HP様↓

gaga.ne.jp

 

 

以降、ネタバレ注意!!!

 

※誤字や文法間違い等があるかもしれません
 寛大な心でよろしくお願いします

 

『ざっくりあらすじ』

  1. 仕事に、生きることに、身が入ってない主人公(高橋光太郎)
  2. 真っ直ぐとやるべき事をしている駒田琉生に羨望を抱いて、テイスティングノートを見てしまった事を発端に少し衝突
  3. 光太郎は琉生の過去を知り、少しずつ駒田蒸留所の従業員と打ち解け前向きになる
  4. 貯蔵庫が火災で原酒が被害を受ける
  5. 琉生は買収を検討するが、従業員の仲間の反対を受けて自分達でKOMAを作ることを決める
  6. 光太郎は自らKOMAを作る過程を記事にする事で、様々な原酒が集まる
  7. KOMAの復活に四苦八苦していることを兄の駒田圭に見抜かれるが、圭が父親の残したノートを持ち寄る事で少しずつ復活が近づく
  8. 父親の残したノートの端の字を母親に読んでもらい、「糸」が最後のピースであることに気付く
  9. KOMA復活

 

『KOMAというウイスキー

独楽の文字通り作品の軸となり、物語を回転させていたウイスキーだと感じた。

父親が地震の被害のため原酒が作れなくなって、会社を存続させるためにウイスキー事業を辞めてしまった。だけど二人の子供である”琉生”と”圭”はKOMAというウイスキーはただのお酒ではなくて、「家族のお酒」として大切に想っていたから、異なる方法で復活させようとする。

  • ”琉生”
    わかばというウイスキーで業績を伸ばし、KOMAに近い原酒を探して地道にKOMAを復活させようとする方法
  • ”圭”
    桜盛酒造という別会社の経営企画室という立場で、駒田蒸留所を買収して守ることでKOMAを復活させようとする方法

同じ「家族のお酒」であるKOMAを復活させたいという想いは同じだけど、初めは対立してしまい兄妹で互いに譲れない思いがあるからこそ、強く衝突してしまう。
だけど異分子である主人公の”光太郎”が出てきたお陰で、少しずつわだかまりが解消されていくところが良かった。

 

『糸という焼酎の存在』

KOMAを復活させるための最後のピースとなるお父さんのノートの端の文字に書かれた「糸」という焼酎の存在に琉生が気付いた時には、少し鳥肌が立ちました。

何でだろうって改めて考察すると、以下の二つの役割があったのかなって思います。

  • 直接的な役割
    糸の樽で後熟させる事でKOMAの風味が得られること
  • 間接的な役割
    糸という焼酎が収益を生み、会社という独楽を存続・回転させるための糸となっていること

情熱を持ってウイスキーを作り続ける事は尊い事だと思うけど、会社を存続させ従業員達という家族を養っていくためには別の事業で収益を出して、会社を続けていかなければならない。
だからやりたい事のためには、やりたくないとまでは言わないけれど別の事に取り組む必要が絶対に出てくる。それが駒田蒸留所にとっては焼酎を作ることだったんだなって思う(まあそれも実はKOMAにとっては必要なピースという訳だけど

 

P.A.worksのお仕事ものとしての系譜』

花咲くいろは」⇒「SHIROBAKO」⇒「サクラクエスト」⇒「白い砂のアクアトープ」⇒「駒田蒸留所へようこそ」と続いている、お仕事ものシリーズ。

「白い砂のアクアトープ」が2年前という事に、書きながら驚愕していますが敢えて男女の恋愛を明確に描かなくなったな~と本作でも思いました。本作は単発の映画で蒸留所を舞台に家族を描いているので、尺的に主人公の恋愛を描く事は難しかったのかなとも思いますが。

でも「白い砂のアクアトープ」では2年前なので記憶が薄れてますが、恋愛よりも登場人物達の若者が自ら携わる仕事の葛藤(以下の様な)をより重点的に描いていた気がします。

  • 何でこの仕事をしているか
  • 生きるって何か
  • やりがいって何か

昨今は恋愛にも色んな価値観が生まれているし、恋愛して結婚する事が全てではないとも思います。
だからこそ生きるためには必然的に向き合わないといけない”仕事”を描く物語が色んな人に受け入れられるんじゃないかなって個人的に思いました。

あと仕事のやりがいとかについてですが、本作の主人公が25歳にして5社(だったような…)転々とする生き方をしていて、現在のライターという仕事で自らポジティブに関わること(ざっくりあらすじの6項)で自分の仕事を楽しく前向きに取り組む様になったのは、やりがいを得る正解の1つなのかなって感じました。

 

『ライターの仕事について思った事』

僕は個人的に物語の感想をこうやってまとめてますが、劇中に古いバージョンの原稿を挙げてしまい桜盛酒造に誤解を与えてしまったシーンで思った事。

プロのライターとして文章を書くなら、誤解の無いように書かないといけない事は当たり前だけど、個人的にこうやって文章を残す事についても少しは責任感を持たないといけないと思いました。
別に誰かから依頼があって書くわけじゃないけど、発信している内容で勘違いして誤った情報が広まってしまうとやっぱり良くないと思う。だからちょっとした責任感が少し芽生えた気がする。

 

 

『雑多な感想』

さいごに雑多な感想です。

PAお仕事もの好き、ウイスキー好き、としては100点の作品でした!

ウイスキーの製造方法についても丁寧な解説がされていてウイスキー知らない人にも優しいし、ホットスチルなどその他蒸留所の設備の作画が気合入りまくりで痺れました!!!

あとお母さんが琉生と圭、二人の兄妹で作り上げた新しいKOMAを飲んだシーンは泣いちゃった…(まあ色んなシーンでうるうるしてましたけど

 

それと上の方で恋愛描かなかった~、とか書いているけど個人的には光太郎と琉生はゆくゆくは付き合って欲しいなって妄想してる(笑)

行きつけのバーでこっそり二人で会って仲が深まって琉生に告白
⇒蒸留所第一で恋愛の事は考えてない、って言って琉生が断る(保留)
⇒それでも光太郎は駒田蒸留所にかかわり続け
⇒告白から3年後くらいに付き合い始めてる

こんな感じで付き合って欲しいな…綺麗に終わったから続編は難しいのだろうけど、、、

 

そういえば駒田蒸留所の貯蔵庫の樽が金属枠で縦積みされているのは、以前伺ったマルスウイスキーの貯蔵室を思い出しました

マルスウイスキー」貯蔵庫

ニッカウヰスキーだと縦に高く積む方式じゃなく、木枠での2段積みだったので違いが少し気になった
金属枠で高く積み上げると土地は少なく済むのでコストメリットあって、一方で低い所と高い所で気温差があって品質にバラツキが出るデメリットがあるのかな?わからん…

ニッカウヰスキー余市蒸留所」貯蔵庫

ニッカウヰスキー宮城峡蒸留所」貯蔵庫