物語は心の栄養素

アニメや美女ゲなど、”物語”で感じた想いを保管するためのブログです

ノベルゲー『ヒラヒラヒヒル』感想 ~重厚だけどふわりと簡単に物語の世界にいざなわれる、架空の病気と戦う人々を描いた物語~

ANIPLEX.EXE『ヒラヒラヒヒル』タイトル画面
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風爛症という架空の病気と戦う人々を描いた作品

瀬戸口廉也先生の重厚で心を刺してくる文章味わいながらも、いとも簡単にふわりと物語の世界に引き込まれてしまう不思議な力があるノベルゲームです

 

【 ↓ 公式サイト様 ↓ 】

hirahirahihiru.com

 

以降、ネタバレ注意!!!

※感想は概ねプレイ時の時系列順です
 誤字や文法間違い等があるかもしれません
 寛大な心でよろしくお願いします

 

 

『小説っぽい雰囲気』

言葉から情景がありありと浮かび上がってくる、そんな小説みたいな雰囲気の文体

でもゲームとしてBGMからも大正の日本の雰囲気が伝わってくるし、SEも丁寧でその場所にいるような気分にさせてくれるところが良い。ただ文章を読ませるだけじゃなくて、音や絵でその場に入り込める没入感が良い

 

『ひひるって何だろうって考えてみる』

神田川の河川にいるひひるの美代さんと、衣川の交流を見て感じた事

風爛病という病気で、死者が蘇る様に見える所から空想の病気って一見感じるけど、個人的にはハンセン病みたいだなって感じた

この物語で語られている時代は不治の原因不明の病ってところから、少しづつ治療法とかを模索している様なタイミングだと思う。だから公式HPのストーリー紹介の最後で

「風爛症」と戦う人々の物語が描かれる―

って銘が打たれてるんだろうな。

ちょっと脱線するけど僕の生まれ育った県にはハンセン病の療養所あって、小学校くらいからハンセン病に対する授業を受けてました。
だから家から強制的に療養所に送られる仕打ちだったり、そこから出られなかったり、子供をつくれなかったり、そいういうものを思い出したなって(個人的な事ですが

 

『素っ気ない武雄が良い…』

明子が自分の体が弱いことを自覚していながらも、留学したいという想いを武雄に打ち明けたシーンで武雄が自分も勉強して一緒に留学するって、サラッと言ってのけるところが素っ気ないけど、凄く明子の事を大切に想ってて良い…

あとそんな素っ気なくもクールな武雄に感情を振り回される明子が可愛いな。それと下記の会話がすごい好き

明子
「私はいつも武雄さんのことがわからなくてもどかいしい想いをしているのに、武夫さんは私のことを全部分かっているんですもの。だから私はずるいって云いました」
武雄
「そうですか」
いつものようにそう返してしまうと、
明子
「私も武雄さんのこと、もっと知りたいです」

追記
このシーンの直後に明子さんが亡くなって、ひひるとなってしまった…感情の乱高下、つれえ。
でもゲーム開始時のシーンに繋がったときはゾクゾクした

読了後追記
武雄の明子さんの幸せな未来があった事に、凄くほっとした気持ちになりました…

 

『母親との別れ』

正光の実母を想う複雑な感情に、僕の心がぎゅーと締め付けられるような思いになった

あと千種の家に移ってから、父親が実母の事を気に掛けて料理を食べやすいように指示していたところが、父親がちゃんと気に掛けていてくれた事を示してて、嬉しい様な気がするんだけど、どこか他人事のような雰囲気があって少し気持ち悪い感じがした。
金銭的な援助はしていたから気に掛けてはいるんだけど、その様子を見に行かないところとかがどこか線引きしているようで、そんな所が気持ち悪いって感じたのかな

読了後追記
物語を知っても父親が本当に悪人だったようには思えなかった。正光が色んな選択をしたとしても尊重してくれているし、支えてくれていたと思う
だから正光の実母の事は、自身が華族という家の問題があったから表立っては動けないけど、最大限(とも言えない気もするけど)尽くしてくれていたのかなって

 

『惣一の顔の傷』

惣一の妹である朝がひひるになってしまったから、顔が崩れるっていう気持ちを理解するために、惣一自らが自身の爪で抉った痕

その顔の傷の理由を知って惣一が妹の朝さんの事をどれだけ大切に想っているかに気付かされて、絶句した。妹に生きることを諦めて欲しくなくての行動だけど、惣一が咄嗟にそんな行動とる、その人間としての強さを僕は凄く尊敬する

普段はちゃらんぽらんだけど、いざという時はバシッと決める男ってカッコいいわ…

 

『TRUE END』

こんなにも心穏やかで、安らかなエンディングを味わったのは久しぶりな気がする

  • 正光はひひるになってしまっても、変わらず医師として頑張りながら朝さんとの海外留学という未来を考えているし
  • 武雄は故郷の青森で明子と静かに暮らしながら、二人の将来の事を考えているし

二人の主人公には明るい未来が約束された様な事はないけれど、確実に歩んでいる希望みたいなものを感じて温かい気持ちになった

ALLクリア後追記
BADを見届けて思った事、二人共幸せなままで生きてて欲しいな…本当に。ちょっと違えば辛い現実が降りかかってくるから、穏やかなことが本当に愛おしいと思った

あとクリア後のタイトル画面に”正光と朝さん”・”武雄と明子さん”が居て、彼ら彼女らの人生がこれからも続いていくように感じられて幸せなな気持ちになった…

 

『武雄BAD1』

感情を押し殺して明子さんの事を殺す武雄の姿がいたたまれなくて、鎮柳先生の代わりに「私がやります」といった時は本当に辛くて、目をモニタから背けてしまった

最後はブランコ松で自殺してしまったのだろうけど、僕は武雄に頑張ったねって声をかけたいと思った

 

『武雄BAD2』

明子さんが病院に入り、鎮柳先生は自殺してしまい、河原でひひるの美代さんを殺してしまった罪悪感に苛まれながら物語が終わる

自分が選んだ選択を背負い続けて、辛そうにする武雄の姿を見るのがつらいな…でも自分の選択から逃げてない武雄の事が凄いと思う。凄く強くて立派な人だ

 

 

『雑多な感想』

さいごに雑多な感想を。

本当に瀬戸口廉也先生のシナリオが辛くて辛くて身に染み込んできましたね…(いい意味です
絶望的な風爛症との戦いを描いているんだけど、何故かクリックが止められないし、どんどん物語へのめり込んでいく感覚が良かった

あとMANYOさんのBGMが大正の世界に馴染んでいてとても良き、感情に訴えかけてくる音楽や、そっと物語と文章の裏で奏でられる音楽など、時々に必要な演出をしてくれて心地良かったですね(殻ノ少女シリーズと同じ様なテイストを感じれて凄く好き

 

最後に登場人物別に思った事をつらつらと、

「千種正光」
お母さんが風爛症だったから壮絶な幼少期を過ごしているけど、凄く真面目で現実を直視出来る強い大人だなって思った
メガネがとても似合ってて好き(勿論ひひるになってメガネ外した後も好きよ

 

「天間武雄」
イケメンすぎるぜ…青森男児ィ!
ただ腕っぷしが強い訳じゃなくて、相手を思いやれる心を持ってて穏やかな所が凄くカッコいい!!
彼みたいな鋼のメンタルを手に入れたいな…

 

「常見明子」
武雄にドギマギさせられている姿を見ると、ニヤニヤが止まりませんね

「野村朝」
朝さんと正光の二人の雰囲気にただならぬ信頼感を感じているので、幼少期の出会いや交流をもっと見てみたいなって思った
朝さんが白い仮面を付けてキャンバスに向き合うCGがとても好きですね

 

「辻菊栄」
クールに淡々と写真を撮り仕事をこなす姿は見習いたい。
あと”ガラス乾板撮影”とかの知らない知識を知れて良かった。フィルムカメラより前の技術でガラスに転造して撮影するので耐久性とかが良いらしい

 

「野村惣一」
惣一もカッコいいよ本当に、本作の男はみんなカッコいい。どうなってんだ!?w
上でも散々書いたけど妹思いで最高のお兄ちゃんだったわ…